Artist Statement


私の制作は、都市を構成する空間や記号を別の知覚体系へと変換する試みである。

 都市は建築家やデザイナーによって計画され、一定の機能や意味を与えられている。しかし私が関心を持つのは、その秩序そのものではなく、人が移動し経験することで生じる別の空間認識である。

私は、西洋の透視図法による単一視点の空間把握と、日本の伝統絵画に見られる多焦点的な空間認識の双方に影響を受けている。そのため私にとって空間は固定された構造としてではなく、複数の視点や経験によって絶えず変化するものである。

 初期の作品では、目的なく街を歩きながら撮影した写真を再構成することで、日常の中に埋もれた断片的な風景を浮かび上がらせた。近年はスケートボードを用いた移動へと関心が広がっている。スケートボーダーにとって都市は設計された機能空間ではなく、身体の運動によって再解釈される地形である。階段や手すり、路面の傾斜は本来の用途から切り離され、新たな意味を獲得する。

 私はこうした移動の経験から生まれる視覚的・身体的なずれを、写真、彫刻、インスタレーションへと変換している。作品は都市を表象するものではなく、移動によって生じる知覚のずれを写真や彫刻へと変換し、その経験を物質として再構成する試みである。